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推理小説「シャーロック・ホームズ」最終回
最後の事件(1893年)
コナン・ドイルが執筆したシャーロック・ホームズの1作目における最終回は、「最後の事件」というタイトルです。
実はコナン・ドイルが「最後の事件」を執筆することになった訳は、シャーロック・ホームズシリーズを執筆することが嫌になってしまい、作品を完結させたくなったのが理由とされています。ですのでストーリーが急に完結に向かうような内容になっている訳です。

シドニー・パジェットの描いたホームズの肖像(1904年)出典:Wikipedia
「最期の事件」では、モリアーティ教授という最後の悪役が唐突に登場してきています。このシリーズの中で、シャーロック・ホームズはモリアーティ教授が自分自身の宿敵であることを突然告げる訳です。モリアーティ教授はロンドンで発生している犯罪の、およそ半分ぐらいに関わっていると噂されるぐらいの悪人となります。今まで登場してきたことがなく、伏線も全くない人物が唐突に登場してきたことからも、シャーロック・ホームズのシリーズを完結させたい気持ちが表れている部分です。
モリアーティ教授
モリアーティ教授は、大学で数学の教授をしていたぐらいの数学の天才で、その能力を利用して完全犯罪を犯していました。ホームズも、自分の探偵としての能力に相当する人としてモリアーティ教授のことを認めていて、最後の対戦は非常に熾烈となります。モリアーティ教授を何とか追い詰めることが出来たシャーロック・ホームズは、教授が立ち上げた犯罪組織を崩壊させました。ところが組織を崩壊させることを実現出来たのですが、モリアーティ教授は警察の追跡を逃れて、脱出していた訳です。

モリアーティ教授/出典:Wikipedia
ホームズは自分自身の命を、モリアーティ教授が奪いにくると予想します。ホームズはワトソンと、ライヘンバッハの滝と呼ばれる場所に向かうことになりましたが、ワトソンに対してホームズはロンドンに留まるように勧めました。これ以上行動を共にすると、ワトソンの命も危険に晒されることを心配したホームズは、ワトソンの将来のために留まることを勧めた訳です。ところがワトソンは、一緒にホームズと行動することを選びました。
ホームズとの別れ
そのような状況の中で若いスイス人が2人の元に訪れ、宿でイギリス人女性が重篤な状態なため医師であるワトソンに診察してもらいたいと懇願しにきます。ワトソンは一緒にホームズとライヘンバッハの滝に行きたかったのですが、最終的に女性のところに行く決断をしました。2人が別れた場所は、ライヘンバッハの滝でワトソンは最後にホームズの姿を見たのは滝を眺めているところだったのです。
女性を治療してから、ワトソンがライヘンバッハの滝に戻ると、ホームズの銀で出来たシガレットケースと登山用の杖、ワトソンに宛てられた手紙が残っていました。手紙の内容は、この手紙をモリアーティ教授の好意によって書くことが可能なことと、これで結果は良かったはずだといったワトソンに対する別れの挨拶のような内容だったのです。結果的に、モリアーティ教授とホームズは揉み合いになって2人で滝壺に落ちてしまったという結論を警察は出しました。
コナン・ドイルとしては、シャーロック・ホームズが直接亡くなるような表現をしていませんでしたが、亡くなったことを読者に連想させるような方法で物語を完結させたかったものと思われます。ところが読者は「最後の事件」が出版されると、滝壺にホームズを落した結末に対する批判が出てきました。読者や出版社から嫌がらせや中傷、抗議をコナン・ドイルは受けましたが、作品を執筆することはなかったのです。
最後の挨拶(1917年)

シャーロック・ホームズ「最後の挨拶」
ところが「空き家の冒険」と呼ばれる作品が「最後の事件」を発表してから9年以上経った1903年に発表されます。要するに「最後の事件」は、最後のシャーロック・ホームズの作品ではなかった訳です。
9年に亘り読者から批判されたコナン・ドイルは、かなり強引な形でホームズ作品を再開させます。滝壺の中に落ちたはずだったホームズは、実際には岩場の物陰に隠れており亡くなっていなかったことになっていました。
1903年に発表された「空き家の冒険」から再び開始したホームズシリーズですが、コナン・ドイルは1917年に出版する「最後の挨拶」でホームズシリーズを再び完結させると告げます。要するに2度目の最終回は「最後の挨拶」と呼ばれる作品です。
ドイツのスパイと戦争
第一次世界大戦が始まる2日前のイギリスで、ドイツのスパイであるフォン・ボルクはアメリカ人スパイ、アルタモントからイギリス海軍の暗号簿の入った包みを受け取ります。その中に本には「実用養蜂便覧」と文字が書かれていました。アルタモントはホームズが仕掛けた罠だったのです。
ホームズは、この作品中では犯罪捜査をすでに引退しています。田舎に移住していたホームズは、ゆっくりした一般的な暮らしを養蜂業を営みながら送っていたのですが、イギリスの政府から依頼されてスパイであるボルクを逮捕するために駆り出される訳です。もちろんこの作品でも、相棒のワトソンが登場しています。

この作品より後にホームズが直接事件を捜査するような場面は出てこなくなり、探偵として推理をして活躍する機会はなくなります。
またコナン・ドイル自身が戦争により身内を亡くした背景が、よりこの「最後の挨拶」の深くさせているのかもしれません。
【まとめ】推理小説「シャーロック・ホームズ」最終回
時系列に並べてみると、「シャーロック・ホームズ」の最終話は事実上この「最後の挨拶」になります。ホームズのその後の消息に関しては語られておらず、結局ホームズの結末は分からないまま終わっています。
今回のドラマ「シャーロック」では一体どのような結末で終わるのか、最終回が楽しみですね。
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『シャーロック #01』🕵️🗼世界一有名なミステリー小説「シャーロック・ホームズ」が現代の東京に蘇る!罪と謎に魅了された天才探偵×スマートな精神科医…危険な二人が今夜、運命の出会いhttps://t.co/3HSNYWBGjp#fujitv #シャーロック #ディーン・フジオカ #岩田剛典 pic.twitter.com/FnN2Xfd121
— フジテレビ (@fujitv) 2019年10月6日